皆さんは、「ロックピン」というものをご存じでしょうか?
「ロックピン」とは、テニスのボールバスケットやトレーニング器具などのスポーツ用品に使われている固定用金具のことです。
比較的小さいものなので、長年使っていることで破損したり、紛失してしまうなど、使用するうえでの悩み事は尽きません。
しかも、多くの場合は数本がワンセットになっており、「一本だけ予備が欲しいな…」と思っても、完全に同じものが単品で販売されていなかったりするので、なかなか手に入りづらいものです。
今回は、そんな「ロックピン」を忠実に再現・製作した事例を紹介いたします。
「紛失した、または壊れてしまった。」「いざという時のために予備を持っておきたい。」という方は、参考にしてみてくださいね。
今回のご依頼主様は、とある学校のアメフト部の方でした。
「長年使用していた器具のロックピンが壊れてしまったので、同じものを作ってほしい」とのご要望でした。
完全に同じものに仕上げるためには、かなり精密な技術が要求されるので、今回のご依頼主様は「予算内で頼めるところがなかなか見つからず…」と、困り果てたご様子でした。
壊れたロックピンを郵送いただき、それを元に、製作することとしました。
今回制作したロックピンは、アメフト用品で使う差し込み式のロックピンです。
球状部分の内側にはスプリング(バネ)が入っており、差し込むことで「カチッ」と鳴って、カエシ状になるので、しっかりと固定することができます。
差し込み用の穴より大きいと入りませんし、逆に細いとしっかり固定できなくなってしまうので、寸分の狂いなく仕上げる必要がありました。
また、球状部分に入っているスプリング(バネ)が強すぎると、取り外しに影響が出ますし、弱すぎると今度は簡単に外れてしまい、固定具として頼りなくなってしまいます。
今回は、元のロックピンでも使用されていた「鉄」を使用して棒状部分を製作し、球状部分と2重カン部分には、耐食性(サビにくさ)・耐久性(頑丈さ)に優れる「ステンレス」を使用しました。
球状の部品がとスプリング(バネ)が入っている可動部分は、サビてしまうと押し込みにくくなったり、壊れてしまう原因にもなってしまいますので、サビに強い素材を使う必要がありました。
製作方法は、金属を削って形を作っていく「切削」という技法を用いています。
完成品よりも大きな金属を削るので、素材にロスが出てしまい、コストがかかってしまうようにも思えます。
しかし、実は一点物などの場合は、金型を製作するよりも費用が抑えられ、物によっては納期も短くなるという特徴があります。
今回製作した「ロックピン」は、頻繁に取り付け・取り外しをするものですので、どうしても破損の可能性は高くなってしまいます。
そのため、納品後もより長く使ってもらえるように、耐食性・耐久性のあるステンレスを使用するなど、素材選びの部分にも工夫を施しています。
そのほか、短納期・ローコストを実現するために製作の手法を考えたりと、製作全体を通して、ご依頼主様の要望を取り入れつつ、最高の仕上がりにするにはどうしたらいいのかを考えて取り組んでいます。
このように、杉原産業では「納品して終わり」ではなく、「納品後も、より長く使っていただけるような工夫を最大限取り入れること」を考えています。
「信頼できる金属加工業者を探している」「請け負ってくれる業者がなかなか見つからない」、そんな方は是非一度、「杉原産業」までご相談ください!