今回ご紹介する事例は、ハンドメイドアクセサリーで使用する「バチカン」という金具を製作した事例です。
使用したことがある方ならご存知かと思いますが、バチカンは「カン金具」の一種で、主にネックレスチェーンとペンダントトップを繋ぎとめる役割を持っています。
通常のバチカンのほか、「開閉式」という種類のものもありますが、今回製作したのは通常のバチカンです。
ネックレスの製作で使われるのは、バチカンだけではありません。
バチカンは、円状になっているカン金具なので、厚みのあるペンダントトップだと通らないことがあります。その弱点を克服したのが「Aカン」というカン金具です。
Aカンは、字のとおり「アルファベットのA」のような形状をしたカン金具で、両端にある細い突起部分をペンダントトップに通すことでネックレスチェーンと繋ぎ合わせることが出来るようになります。
挟み込むようにして使うので、厚みのあるペンダントトップにも対応が可能です。
カン金具にはほかにもさまざまな種類がありますので、興味がある方は、以下の記事も是非読んでみてください。
意外と知らないカン金具について|種類ごとの使われている場所と製作実績を併せて紹介
ここからはバチカンの製作における注意点を紹介していきます。
バチカンを製作する際の注意点として、大きく分けて以下の3つがあります。
これらについて、詳しく見ていきましょう。
バチカンはペンダントトップを通した後、開いた両端をヤットコなどで閉じなければいけません。
しっかりと噛み合う形状になっていないとペンダントトップが外れやすくなってしまいますので、両端の形状調整は慎重に行いました。
上述したように、バチカンはヤットコなどを用いての開閉が必要になります。
そのため、開閉のしやすさに重きを置いて設計する必要があるのですが、やわらかすぎてしまうと今度は変形しやすくなり、意図せず破損してしまう原因にもなってしまいます。
硬度の絶妙なバランスを実現することに細心の注意を払いました。
ネックレスは身につけるものなので、当然、外気にさらされ続けることになります。
そのため、耐食性(錆びにくさ)や耐久性(長期間使い続けられるか)が大事になってきます。
さらに、ご依頼主様の理想の色味もありますので、素材選びに関する打ち合わせは特に綿密に行いました。
今回は、バチカンというカン金具の製作事例を紹介しました。
記事内でも紹介したように、カン金具はさまざまな種類がありますが、「ピンポイントで理想を実現するためのカン金具」は、市販の規格では見つからないことがあります。
「こんな特徴のものがほしい」という場合は、一度製作所にご相談いただくことで「理想を実現する正解の金具」が見つかるかもしれません。