今回紹介するのは、真鍮製のカラビナをアルミ製に作り変えた事例です。
また、今回の事例を通して生まれたアイデアから、新製品の開発に繋がりましたので、そちらもあわせて紹介します。
ことの始まりは、とあるご依頼主様から「この真鍮製のカラビナは開閉しにくくて、物自体も少し重量があります。何とかなりませんか?」とご相談いただいたことです。
そこから何度か打ち合わせを行い、より軽量の素材であるアルミを使用することになりました。
打ち合わせの後、「開閉しやすい形状とは、どのようなものなのか」という部分での試行錯誤が始まりました。
設計してはやり直し、度重なる設計を繰り返して完成に至りました。
上記の写真が、完成したカラビナになります。
「開閉しやすさ」という部分において、従来のものとは大きく変わった点が2つありますので、ここからはその大きな2つの変更点について紹介していきます。
1つ目の大きな変更点は、「可動部分の長さ」です。
冒頭に掲載した写真の左側に写っているものが「真鍮製のカラビナ」になるのですが、可動部分が短く、指で押してもなかなか動きにくいという弱点がありました。
そのほか、可動部分が短いことで、「可動部分を動かして開けたものの、指が遮って取り付けたいものをつけられない」といったことも発生してしまいます。
設計の試行錯誤中、「可動部分を長くすれば、余裕が生まれるのではないか」という部分に気づき、今回その案を採用しています。
2つ目は、可動部分の形状の変更です。
くぼみを作ることでかけた力が伝わりやすくなり、従来のものよりも開きやすくなっています。
くぼみを作った結果デザイン性にも違いが生まれ、より曲線的なデザインに仕上がりました。
今回完成したものをご依頼主様に確認していただくと、機能性(開閉のしやすさ)と、デザイン性の高さに大変満足しているご様子でした。
当社『杉原産業』としましても、試行錯誤の中から生まれた製品ですので、何とかこのカラビナを広めることは出来ないだろうかと思案していくうちに「商品化してみよう」、という一大プロジェクトに発展しました。
こうして、その後仕様書などを作成し、「より軽量で、安定性・実用性を兼ね備えたカラビナ」のサンプル(上記写真)が完成。ご依頼がきっかけで、新製品が生まれるという珍しい事例でした。
杉原産業では、お客様のアイデアをかなえるための努力・工夫を怠りません。
だからこそ、何気ないご相談や、ご意見・ご感想などから、新しいアイデアが生まれることもあります。
「お客様と一緒に作り上げること」をモットーに、今後も励んでいけたらと思います。