ファッションデザイン関係の会社のお客様から、「ドイツ空軍が使っていたハルトマンジャケットをモチーフにレザージャケットを作っているが、バックルを作れませんか?」という相談を受けました。
ハルトマンジャケットとは、1940年代にドイツ空軍が使っていたレザージャケットで、胴体の裾部分(ウエスト)にベルトがついており、バックルで留めることが出来ます。
今回は大量生産ではなく、小ロット(100個くらい)で作りたいということもあり、なかなか相談できるところがなかったため、弊社にお問い合わせを頂いたということでした。
今回のバックルは、以下の工程で製作しました。
今回のお客様は、設計書などがなく「こういうイメージのものを作りたい」という参考写真しかなかったため、写真をもとに設計書を作りました。
ハルトマンジャケットのバックルは、ジャケットのウエスト部分に使われており、金属同士をカチャっとはめて留めるタイプのバックルです。
少しでもずれると使い物にならないので、今回は特に丁寧に設計をしました。
設計書を元に、型を作り、そこに金属を流し込んでサンプルを作りました。
真鍮でできたバックル
重さ:58g
真鍮は重みがあって、見た目にも重厚感と高級感が出るのが特徴です。
使えば使うほど味わいが出てくるため、経年変化を楽しみたい人に人気です。
アルミで作ったバックル
重さ:14.5g
アルミは、ご存知の通り1円玉にも使われている軽い金属です。
真鍮と比べると、4分の1の軽さで作ることが出来ました。
ただ、今回はアルミの中でも「ジュラルミン」という純アルミニウムに添加元素を加えて強化したものを使ったため、軽いですが、比較的丈夫なものとなりました。
スズで作ったバックル
重さ:46.3g
スズは、真鍮よりも軽く、アルミより重くさびにくい金属です。
さびにくいため、美しい光沢を長期間にわたって持ちつづけるという特性があり、古くから装飾品に使われてきました。
出来たサンプルをお客様にお渡したところ、軽いという点を気に入っていただきアルミ(ジュラルミン)でバックルを作ることに決定しました。
最終的には、こちらの製品を150個納品いたしました。
最初にご相談いただいてからサンプルお渡しまで1か月、全部合わせて2か月で納品いたしました。
今回は、すでに生産停止している古い形のレザージャケット「ハルトマンジャケット」をモチーフにバックルを製作いたしました。
こういったバックルは、正確に作らないとうまくはまらず、使い物にはなりません。しっかりと設計をしたうえで、製造し、大量生産する前にサンプルで実際のはまり方を確認することをお勧めします。
特定の商品をモチーフに同じような金具を作りたい、オリジナルで小ロットで金具を作りたいというときは、ぜひ杉原産業にご相談くださいませ。