今回は、新型コロナウイルス感染症対策も考慮して、飲食店でも使える抗菌加工のコップを作って欲しいという依頼が有りました。
抗菌コップの製造方法は2種類あります。
1.抗菌性のある原料でコップを製作する方法
2.製品の表面にコーティングする方法
銀や銅などの金属には、元々抗菌性があるので、銀や銅でコップを作れば、抗菌コップが出来上がります。
プラスチックの場合も、溶かした樹脂に抗菌剤を混ぜ込み、それを固めてコップを作ることが出来ます。
このように抗菌性のある原料でコップを作れば、抗菌性は半永久的に持続します。
一方で、抗菌性のある原料自体が高額なため、コップも高価になってしまいます。
もう一つは、すでに出来上がったコップの表面に抗菌剤をコーティングする方法です。
この場合は、長年使っていくと抗菌性は少しずつ落ちて行ってしまいますが、その分安く作ることが出来ます。
今回は、「2.製品の表面にコーティングする方法」で抗菌コップを作りました。
今回のような場合は、デザインが気に入っているお好きなコップをお持ち込みいただくことで、どんな製品であっても比較的安価で抗菌コップに仕上げられるというメリットがあります。
抗菌コップの加工工程
お客様からお持ちいただいたコップに、噴射式の機械で抗菌成分を吹きました。
抗菌成分はただ吹き付ければいいというわけではなく、均等に吹き付ける必要があります。
均等になっていないと、その部分から抗菌成分が剥がれていき、抗菌性能が落ちて行ってしまうからです。
その後、窯でコップに熱を加えて、密着させていきました。
いくつかコップの種類があったので、コップの素材によって、加える熱の温度は微妙に調整させました。
温度が高すぎるとコップが変形してしたり、破損したりする恐れがありますし、低すぎると抗菌成分の密着が甘くなってしまうからです。
今回は温度調整をしたことで、しっかりと形も変わらないまま、抗菌剤がきれいにコーティングされたコップに仕上がりました。
抗菌とは?殺菌・滅菌・除菌との効果の違い
菌やウイルスへの対策グッズは色々ありますが、製品によって「抗菌」「滅菌」「消毒」「除菌」などと使われている文句が違います。その違いはご存知でしょうか?
今回製造した「抗菌コップ」の「抗菌」の意味を知るためにも、この4つの言葉の意味を紹介します。
抗菌とは「菌の増殖を抑制すること」。
つまり、菌が住みにくい環境をあらかじめ作っておくことで、菌がついてしまっても、それ以上に増えないようにする加工のことです。
後で説明する、殺菌・滅菌と違って菌を殺すわけではないというのがポイントです。
殺菌とは「特定の菌を殺すこと」。
菌の種類の数は問わず、菌の数が減れば殺菌ということができます。
医薬品・医薬部外品に使える表現で、市販薬や薬用せっけんのパッケージに書かれていることが多いです。
除菌とは、「菌を取り除くこと」。
殺菌することも除菌には含まれますが、医薬品・医薬部外品以外では「殺菌」と書けない決まりがあるので、この表現が使われます。アルコールスプレー、食器用洗剤、ウエットティッシュなどに書かれていることが多いです。
滅菌とは「あらゆる菌を殺菌すること」。
とても強力ですが、世の中に存在する菌の中には良い働きをする菌もいるので、良い菌まで殺してしまうというデメリットもあります。
病院で使われる医療器具等は、滅菌が必要とされます。
飲食店のコップなどの食器は、こまめに洗浄やスプレーすることで除菌することが必須です。
ただ、食器も傷ついたり、長年使い続けていると細かな傷が出来て、普通に対策していても、通常よりも除菌効果が落ちてきてしまう可能性もあります。
そこで、抗菌製品を使えば、元々菌が住みにくい環境が出来上がっているので、抗菌製品×除菌で清潔な状態を保ちやすくなります。
新型コロナウイルスの影響もあり、今まで以上に食器や持ち物を清潔にする需要が高まっています。
杉原産業では、今回のようにお手持ちの食器やコップを持ち込んで、抗菌加工することが出来ます。
抗菌加工に興味がある方は、ぜひお問い合わせくださいませ。