“フック”というと、「長い棒がぐにゃっと曲がっただけの形状だから、製造・加工も簡単な方なんじゃない?」と思われる方がいるかもしれませんが、一概にそうとはいえません。
フックの用途は様々で、”何をどこにどのように引っかけるのか”千差万別、それぞれに適した素材や加工があるからです。
現に、杉原産業までフックの製造についてご相談をくださるお客様は、それぞれ決して簡単にはいかないご要望を持たれている方が多かったです。
「普通のフックにはない機能がほしい」と希望されているお客様のために、当社はこれまで様々な工夫を凝らし、オリジナルフックの製造を行ってきました。
今回の記事ではその一部を、ご紹介したいと思います。
ベビーカーなどを製造されているお客様から、「回転カンとSカンがくっついているような見た目で、グルッと回転するS字型フックを作ることはできますか?」とご依頼をいただきました。
回転カンとSカンはそれぞれ入手しやすいのですが、これらが1つになっていて回転するS字型フックは見つかりません。(あれば、それもオリジナルで製造されたものではないかな?と思います。)
当社でも全く見たことない形でS字型フックを作ることになりましたが、「今、ないものを作る」ことは製作業の喜びでもあるので、喜んで引き受けさせていただきました。
最終的にお客様が決められた素材はアルミ。線材加工でカットして、ねじり、叩いて組みあわせていきました。
そして写真のように、これまでに見たことが無い、回転するS字型フックが完成したのです。お客様も、「他の業者では作ってもらえなかったのに!」といい意味でとても驚いてくださいました。
<詳細>
写真のようにベルトをひっかけて使うための、オリジナルGフックを製造したことがあります。
形状などは図面にて細かくご指示があり、それに忠実に作らせていただきました。
難しかったのは、素材の強度と予算のバランスの取り方です。
予算をいくらでもかけることができれば、素材問わずとにかく頑丈なGフックを製造することは可能ですが、現実的ではありませんよね。
この時も、ある程度予算は抑える必要がありました。そこでまず、比較的低コストな亜鉛を素材に選んでいます。
亜鉛も機械的強度には優れた素材ですが、ベルトをひっかけて引っ張ると少し曲がってしまいました。
そこでフックの引っかけ部分の太さの微調整を行ったところ、何とか頑丈で曲がらない亜鉛製Gフックが完成したのです。
お客様の予算に合わせて最適な素材や加工方法を選ぶことのも、製作業の技術の1つと言えるのではないでしょうか。
<詳細>
「屋外駐車場のチェーンと、S字型フックが錆びてボロボロになってしまったので、何とかしてほしい!」とご依頼がありました。
※ちなみに、写真のようなS字型部品は「Sカン」とも呼ばれています。
かつてのチェーンやS字型フックが錆び錆びになってしまったのは、野ざらしになっている金属部品にも関わらず、鉄で作られていたことが原因でした。
そのため、新しく製造するS字型フックは、錆びにくくて頑丈なステンレスを採用することになりました。
(チェーンは、仕入れたものをカットしました。これもステンレス製です。)
ステンレスは硬いので、Sの形にキレイに曲げていくには、長年の経験と確かな技術が必要です。
杉原産業がこれまで培ってきたノウハウのもと、腐食しにくい新しいチェーン・S字型フックが完成し、お客様にも大変ご満足していただけました!
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「お気に入りのコートのボタンがどこかにいってしまい、代わりに合うものも売っていないので、オリジナルで作ってほしいです!」とご要望がありました。
なくなる前のボタンの形はまったく分かりませんでしたが、他のボタンや生地に残った跡から何とか機能を推測し、「フック型のボタンが最適だ!」と判断しました。
写真のように開け閉めするタイプのフック型ボタンは、中に仕込まれているバネの強度が重要です。
バネがきつすぎると、コートを着たり脱いだりするのが億劫になってしまいますし、逆にゆるすぎるとフックがすぐに落ちて留め具としての役割を果たしません。
「バネがきつすぎず、ゆるすぎず、結果としてはきちんと留まるフック型ボタン」を目指して製作を進めていきました。
コートはいわゆる”おしゃれアイテム”なので見た目にも気を配りました。いかにも”フック!”という感じでは、カッコ悪くなってしまいます。
そのため、コートの全体的な印象に合わせて、違和感のない形状でお作りしました。切削は丁寧に行い、表面ができるだけ滑らかになるように意識しています。
<詳細>
以上、杉原産業が製造してきたオリジナルフックを数点ご紹介しました。
など、フックの製造に関するご要望は、本当に様々です。
杉原産業ではその1つ1つに、できるだけお応えしていきたいと思っています。
ここで紹介したフックのように、「今までそんな物はみたことがない!」という形状のフックでも、新しく生み出すことが可能かもしれません。
最初から「無理かも……」と決め付けてしまわず、他の会社様で断られていたとしても、1度ご相談をいただければと思います。お力になれるかもしれません!
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