※ゴールドとシルバーのメッキ加工を施したポールガールモチーフの金属チャーム
金属パーツ・金属部品を製作し、その表面を加工する方法には、実に様々な種類があります。
単純に見た目の好みで金属パーツの表面加工方法を選ぶこともありますし、部品の用途やコストによっても、表面加工方法の選択肢は変わるのです。
あくまでも表面加工は、パーツ・部品における”最後のいち工程”でしかないですが、これにこだわれるかどうかで、「良い金属パーツになるのか?」、それとも「粗悪な金属パーツになるのか?」、決まるといっても過言ではありません。
当社『杉原産業』は、ただ金属パーツを製作するだけではなく、パーツの形状・用途、その他様々なご要望に沿った最適な表面加工方法を提案し、実行できることも強みにしています。
今回は、「金属の表面加工って何だろう?」、「何のためにするのだろう?」と疑問を持たれている人のために、金属パーツの表面加工(処理)の種類について、解説します。
また実際に、当社『杉原産業』が様々な方法で金属パーツの表面加工を行った実例も、いくつか紹介しますので、表面加工の仕上がりイメージが気になる人はぜひ参考にしてみてください。
※3種類の表面加工(メッキ)がなされた、スプリットリング
まず、金属パーツの表面加工(表面処理)が何のために行われているのか、その理由を大別すると、下記の2つが挙げられます。
こうして大別された、「品質」と「装飾性」それぞれの目的の中に、さらに細かな目的があって、その細かな目的に応じた表面の加工・処理方法が実にたくさん存在しているのです。
表面加工および表面処理方法の種類については、また項を改めて述べるとして、先に金属パーツの”品質を高める”、そして”装飾性を高める”とはどういう事柄を指すのか、簡単にピックアップしておきます。
後述する様々な方法の表面加工を行うことで、金属パーツに対し上記のような効果を付与できます。
とりわけ「耐摩耗」や「耐食」、そして「耐酸化」は、負荷の大きい部品や、外的影響を大きく受ける屋外の部品を、長く安全に使うために大変重要です。
もとの金属の性質のみに依存せず、表面加工・処理によって品質を高めていくことが、 モノづくりの1つのセオリーです。
金属パーツの表面加工・表面処理によって、もとの金属が有しているよりも優れた光沢を与えたり、カラーバリエーションを増やしたりすることができます。
そのため、アクセサリーパーツなど”デザインが第一”の金属パーツに、装飾性に重きを置いた表面加工・表面処理は、必須であるといえるでしょう。
また、金属パーツ表面のわずかな凹凸や細かなキズは、一部表面処理方法によって修正することも可能です。
※真鍮を「バレル研磨」で表面加工したオリジナル作品
金属パーツの表面加工・表面処理方法は、先ほども述べたように、細かいところまで分けるといくら説明しても足りないほどの数があります。
そこで今回は、金属パーツ製作において特にメジャーな方法を5つピックアップして、説明することとします。
※ゴールドメッキとアンティークカラーのメッキを行ったチャーム
金属パーツ・部品の表面加工で、もっともよく取られる方法であり、認知度も高いものが「メッキ加工」ではないでしょうか。
製作業に携わらない人でも、”メッキが剥げて中の金属が露出している状態”というのを、容易に想像できるかと思います。
メッキの中にも、「電気メッキ」や「無電解メッキ」、さらには「溶解メッキ」や「真空メッキ」などの種類があって、極小金属パーツから大型の金属パーツまで、幅広く使われることが多いのは、金属イオンを含む水溶液(メッキ液)を使って電解処理を施す「電気メッキ」です。
メッキ加工は、“色をつける”、“光沢を出す”といった装飾効果の他、“摩耗しにくくする”、“滑りをよくする”、“錆びにくくなる”などの機能向上効果も有していることが特長です。
「金メッキ」・「銀メッキ」・「ニッケルメッキ」など、かける皮膜の材質は様々で、装飾効果あるいは機能向上効果のなかでも、”どの特性を重要視したいのか”によって、選ぶべきメッキが異なります。
⇒ メッキの素材の違いによる特性を詳しく知りたい人はコチラ
※「多種多様なメッキの種類を分かりやすく解説」のコラムにリンクしています。
亜鉛メッキ・亜鉛合金メッキを保護するために行う「クロメート処理」を筆頭に、金属パーツを特定の溶液に浸して皮膜を作る方法を、化成処理といいます。
金属パーツに色を付けられる(黒染め・古美処理など)のほか、金属パーツを錆びにくくすることにも役立ち、何よりメッキと金属パーツの密着率を高めてくれることが、化成処理の大きな特徴であり、メリットであることでしょう。
※真鍮で製作したバックルをバレル研磨で仕上げたもの
“金属に何か膜をかぶせる”のではなく、金属そのものを磨き(研磨)、表面を綺麗に整える方法もあります。
「機械研磨」や「科学研磨」、「電解研磨」など、様々な研磨方法がありますが、どの研磨の方法も大きな目的は、金属の表面の凹凸などを整え(バリ取り)、もとの金属の特性を生かすツヤ感を出すことです。
例えば真鍮製のアクセサリーを作る際、お客様から「使い込めば使い込むほど、味が出るヴィンテージ仕様にしたい」というご要望があれば、メッキ類はかけずに研磨のみで仕上げることがあります。
これは真鍮という金属の、”経年でくすみがかった色合いに変化する”という特性を活かせるものです。
⇒ 真鍮製バックルを研磨で仕上げた事例を詳しく見る人はコチラ
※「真鍮鋳物で重量感あるバックルを製作」の事例にリンクしています。
金属の表面を、ガラスやプラスチックなどの非金属物質で被覆する方法を、ライニングあるいはコーティングと呼びます。
ライニングあるいはコーティングは、金属表面に耐摩耗性や耐食性を付与することができ、その点では金属メッキの役割と類似しています。
また、非粘着性に特化した「非粘着樹脂コーティング」という方法があり、これは食料品など衛生面の厳しい生産ライン・成形ラインに属する部品に、よく使われる加工です。
※金属よりも更に難易度が高い紙に、塗装を行ったもの
先述したコーティングの1種とする見方もあるのですが、今回はあえてそこから独立させて、塗装という表面加工方法について触れていきます。
といっても、塗装がいかなるものであるかは、メッキと同じく製造業以外の人でも想像しやすいと思います。
例えば、「スプレーで好きな色を吹き付ける加工方法?」というイメージは、やはり多くの人が持たれているでしょう。
上記は「吹き付け塗装」といい、金属など様々な素材でできたパーツに、好きな色を付けられるという認識で、おおかた間違いはありません。
ただ、塗装の役割はそれだけではなく、機能性特化の塗料を使用すれば、防錆や防食、さらには熱伝導性・非粘着性・潤滑性の向上にも影響します。
⇒ 金属よりも塗装が難しい紙への塗装を成功させた事例はコチラ
※「2種類の紙への塗装 | ムラなく塗るのは難しい」の事例へリンクしています。
以上、金属パーツの品質や装飾性を上げるために行う、様々な表面加工・表面処理方法をご紹介しました。
当社『杉原産業』は、パーツの形状と用途、金属そのものとの相性、そしてコストを総合的に考慮して、最適な表面加工・表面処理方法を提案しています。
部品の用途に対して良い表面加工をしすぎて、余計なコストをかける過剰品質も避けますので、ご安心ください。